6.弁理士と特許技術者の違いは?弁理士になることのメリットは?

弁理士のキホン
トンボ
トンボ

弁理士でなくても特許事務所で働けるんだったら、苦労して弁理士になる意味はあるんでしょうか?

カブト
カブト

そこをどう考えるかは、人それぞれかなぁ。

下の記事でも書いたように、特許事務所で働くには、弁理士であることが必須条件というわけではありません。実は、弁理士資格がなくても、『特許技術者』として特許事務所で働くことができます。

5.弁理士の勤務先は特許事務所か企業知財部のほぼ二択
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「それなら、苦労して弁理士資格なんて取らなくてもいいのでは?」と考える人もいるでしょう。それも一つの考え方です。

しかし、やはり特許事務所で働く以上、弁理士を目指すことをオススメしたいと思います。この記事では、その理由についてお話したいと思います。

特許技術者とは?

まずは、弁理士と特許技術者の関係について説明します。

『特許技術者』とは、弁理士資格を持っていない技術系所員のことです。特許技術者も、弁理士と同じように明細書作成や中間処理などの仕事をします。

4.弁理士の主要業務(明細書作成と中間処理)を具体例で説明してみると?
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「じゃあ、弁理士資格なんて必要ないのでは?」と疑問が浮かんできますよね。

もちろん、弁理士資格にはきちんと意味があります。特許権などの産業財産権の取得するための特許庁への手続きの代理は弁理士にしか許されていません。

特許技術者は、弁理士の指導・監督のもと、弁理士の業務を補助するという立場にすぎません。

特許技術者とは

特許庁への手続きは弁理士の名義でしか行うことができません。手続きに不備などがあった場合には、弁理士が最終的な責任を持つことになります。

また、特許庁の審査官と電話をしたり面接をしたりすることもありますが、それが許されるのは弁理士だけです。特許技術者が審査官と直接やり取りすることは禁止されています。

とは言え、現場での線引きではあいまいなことも多く、実際には弁理士が特許技術者をきちんと指導・監督しているとは言えないような状況があるのも事実です。

特許事務所でのキャリアパス

特許事務所に入ったばかりの新米であれば、弁理士であろうが特許技術者であろうが、年収や仕事内容に大差はありません。

しかしながら、長い目で見ると、弁理士であるか特許技術者であるかによって、大きな差が生じる可能性があります。

それを説明するために、まずは特許事務所での一般的なキャリアパスについてお話します。

下のチャートは、中堅(所員が数十人~100人程度)や大手(所員が100人程度以上)の特許事務所における一般的なキャリアパスを示しています。

特許事務所でのキャリアパス

まず、多くの人は特許事務所に特許技術者として転職・就職し、その後、実務経験を積みながら弁理士を目指します。中には、弁理士資格を取得してから特許事務所に転職する人もいますが少数派です。

「実務をやってみたら自分には向いてなかった!」ということも十分にあり得るので、弁理士資格を取得する前にとりあえず特許事務所に入ることをオススメします。

さて、特許事務所で経験を積んで実務能力やクライアントからの評価が高まれば、リーダー職やパートナーへの昇格が視野に入ってきます。

リーダー職は、企業における中間管理職みたいなものです。自身で実務を行う程度は減り、クライアントへの対応業務、後進の育成、管理業務などが主な仕事となります。

リーダー職の先には、パートナーへの道もあるかもしれません。パートナーは、所長とともに事務所を代表する立場であり、経営にも参画します。

しかしながら、リーダー職やパートナーに昇格できるのは弁理士に限られており、特許技術者の場合、いくら優秀でもリーダー職やパートナーにはなれません。

特許技術者がリーダ職に近いことをやっている特許事務所もごくたまにありますが、弁理士の指導・監督下にあるべき特許技術者がリーダー職をするのは本来あり得ないことです。

一般職やリーダー職の弁理士は、独立開業して自らの事務所を立ち上げるという選択肢もありますが、パートナーにまでなれば、普通はその事務所を継ぐことになるでしょう。

カブト
カブト

小さい特許事務所の場合は、リーダー職やパートナーといった階級がないのが普通だよ。

弁理士になることのメリット

特許事務所で弁理士になった場合に得られるメリットについて、いくつか具体例を挙げてみたいと思います。

年収の上限が上がる

特許技術者や一般職の弁理士は、明細書作成や中間処理の件数をできるだけ多くこなすことを求められます。年収を決める際にも処理件数が重視されます。

しかし、処理件数を伸ばすといっても限界があります。年収で言うと800万円ぐらいで頭打ちになることが多いと思います。つまり、特許技術者である限りは、800万円前後が年収の上限となる可能性が高いです。

一方、弁理士であれば、もちろん実力次第ではありますが、リーダー職やパートナーになる道が開かれています。

リーダー職になれば、管理能力や指導力、クライアントからの評価など、事務所への貢献度が総合的に評価されます。その分、責任が重くなりますが、1,000万円以上の年収を得ることが十分可能です。

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もっとも、中間管理職のような面倒くさいことはしたくないという人は、あえて弁理士にならずに特許技術者にとどまるという選択もアリかと思います。

仕事がしやすい

弁理士であれば、正式な代理人として仕事をすることができます。しかし、弁理士の補助者という立場にすぎない特許技術者はそうはいきません。

すでにお話したように、特許技術者だと、特許庁の審査官に直接電話をしたり面接をしたりすることは許されません。そういう場合には、いちいち担当弁理士に対応をお願いする必要があります。

また、鑑定や訴訟といった専門的な業務は弁理士が担当するのが普通ですし、クライアントによっては特許技術者が案件の担当をすることを拒んでくるところもあります。

このように、実務をしていると、無資格の特許技術者では対応できない仕事もちょくちょく出てきます。

この点、弁理士であれば、基本的にどんな仕事も自分で対応できるので、仕事がしやすいです。

将来の選択肢が広がる

キャリアパスのところでも書いたように、弁理士資格を持っていれば、特許事務所でリーダー職やパートナーを務めたり、独立開業したりという選択肢を得ることができます。

また、転職をする場合でも、弁理士資格を持っていることが有利に働くことがあっても、不利になることはありません。

つまり、弁理士であれば、将来の選択肢に広がりを持たせることができます。

ステータスが上がる

最後に、弁理士という資格は、国家資格の中でもステータスは高いほうです。

クレジットカードを作ったり、住宅ローンを組むときなど、弁理士資格を持っていることで優遇されることがあるかもしれません(ないかもしれません)。

それに、職業を聞かれたときに、「特許事務所で働いている」というより、「弁理士です!」って答えたくないですか?たとえわかってもらえなくても(笑)。

また、弁理士になれば、多くのクライアントは『先生』と呼んでくれます。

私が新米弁理士のころは、そのように呼ばれることに違和感がありましたし、プレッシャーも感じました。

しかし、今は先生と呼ばれることに誇りを感じますし、背筋がすっと伸びるような心地よい緊張感もあります。

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まとめ

「特許事務所で働くなら、弁理士を目指したほうがいいことあるよ!」というお話でした。人によって意見は分かれるかもしれませんが、あなたはどう思いますか?

弁理士資格がなくても特許技術者として特許事務所に転職することはできる。
弁理士になれば、「年収の上限が上がる」、「将来の選択肢が広がる」といったメリットがある。
トンボ
トンボ

やっぱりどうせなら弁理士を目指すべきか・・・

カブト
カブト

将来、『トンボ先生』と一緒に仕事ができるといいね!

『弁理士のキホン』の次の記事はこちらです。

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