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明細書作成とはどんな仕事?現役弁理士が解説!

明細書作成とはどんな仕事?現役弁理士が解説!
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トンボ

「弁理士は明細書が書けないと話にならない!」って聞いたんですが、あまりイメージがわかなくて…。

カブト

じゃあ、簡単な具体例を交えながら、明細書作成業務についてできるだけわかりやすく説明するね。

弁理士の二大業務と言えば『明細書作成』と『中間処理』です。

ほとんどの弁理士は毎日これらの仕事に明け暮れています。

この記事では、明細書作成という業務がどういうものなのかについて、具体的に説明したいと思います。

イメージをつかんでもらえたら十分ですので、内容を完璧に理解しようとするのではなく、気楽に読んでもらえれば幸いです。

なお、中間処理についてはこちらの記事で解説しています。

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目次

明細書作成とは?

特許権を取得するためには、特許庁に特許出願を行い、その内容を審査してもらう必要があります。

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特許出願に必要な書類は、『願書』、『特許請求の範囲』、『明細書』、『図面』、『要約書』の5つです。

『明細書作成』とは、出願時にこれらの書類を作成する業務のことです。

出願書類の中で最もボリュームが多いのが明細書なので、明細書作成という言い方が定着したのでしょう。

百聞は一見に如かず。明細書作成でどういう書類を作成するのかを見ておきましょう。

以下の手順で出願書類の公報を見ることができます。

出願書類を見てみよう!
  1. 特許情報プラットフォーム(通称:J-PlatPat)を開く
  2. トップページの簡易検索の欄に適当なキーワード(例:人口知能)を入力して検索(ヒット数が多すぎて検索結果が表示されない場合はキーワードを増やしてみてください
  3. 検索結果に表示されている『特開』から始まる文献番号をクリック
  4. その画面で表示される各項目が以下のように出願書類に対応します
  • 書誌⇒願書
  • 要約⇒要約書
  • 請求の範囲⇒特許請求の範囲
  • 詳細な説明⇒明細書
  • 図面⇒図面

いかがですか?

これが我々弁理士が日々作成している出願書類です。なかなか大変そうでしょ?(笑)

トンボ

こんなに難しそうな書類を毎日書いてるんですか?!

カブト

ま、慣れるもんだよ。

明細書作成は、弁理士の仕事の中でもっとも基本的かつ重要な業務であり、弁理士として生きていくのに必須の業務です。

最初は取っつきにくいですが、弁理士や特許技術者なら誰しもが通っている道です。そのうち慣れるものなので、心配しなくても大丈夫です!

明細書作成で一番重要なのはクレーム

出願書類の中でボリュームがあるのは明細書ですが、最も重要性が高いのは『特許請求の範囲(クレーム)』です。

『クレーム(claim)』というのは、『特許請求の範囲』の英訳であり、実務ではこちらのほうがよく使われますので、この記事でもクレームという表現を使わせてもらいます。

クレームは、特許権の権利範囲を規定する権利書みたいなもので、審査官はクレームに書かれた発明が特許できるかどうかを審査します。

クレームに書いた発明を詳しく説明するために、明細書や図面が補助的な書類として存在すると考えればわかりやすいでしょう。

明細書作成において、弁理士の腕の見せ所となるのがクレームです。

以下では、明細書作成の核心であるクレームをどういう感じで作っていくのか、具体例を示しながら説明します。

クレーム作成の具体例

特許出願を行う場合、まずはクライアントと特許面談を行い、クレームの方針を固めるのが一般的です。

知財部のある企業の場合、クライアント側は発明者と知財部の担当者が面談に出席することが多いです。

さあ、次のような発明を例にして、特許面談を始めてみましょう!

発明者から提示された発明

『消しゴムが側面に取り付けられたシャープペンシル』

消しゴム付きシャープペンシル
カブト

なぜ、この発明を思いついたのですか?

発明者

シャーペンで消しゴムが先端に付いているのがありますよね。

あれだと、消しゴムを使うときに先端を押してしまって、芯が出てしまうことがないですか?

側面につければ、そういうことがないと思って。

カブト

なるほど。じゃあ、この発明を鉛筆に適用しても意味はないっていうことですか?

発明者

そうですね。鉛筆なら芯が出るという問題はないので。

カブト

消しゴムが側面についてたら、シャーペンが転がらないというメリットもありそうですが…。

発明者

確かにそういうメリットもありますね。

カブト

転がり防止に着目するなら鉛筆にも適用できそうな発明ですね。

特許面談では、こんな感じで発明に関するヒアリングを行いながら、発明のアイデアを膨らませたり絞り込んでいったりします。

特許面談で重要なのは、『課題→解決手段→効果』というストーリーを作り上げること。

『課題→解決手段→効果』というストーリーはそのまま明細書の骨子になりますし、『解決手段』はクレームに相当します。

上の例で発明者が最初に言っていたことをこのストーリーに当てはめるとこうなります。

発明者のストーリー

課題:先端に消しゴムが付いたシャーペンだと消しゴムを使うときに芯が出てしまう
 ↓
解決手段:消しゴムをシャーペンの側面に取り付ける
 ↓
効果:消しゴムを使うときに勝手に芯が出ることがない

矛盾のない明快なストーリーが書けますね。

この場合、クレームは解決手段に書かれた『消しゴムが側面に取り付けられたシャーペン』となります。

しかし、これでは発明者が提示してきたストーリーをそのまま書き写しただけで、弁理士としての付加価値はほとんどありません。

弁理士としての腕の見せ所は、以下の点を検討しながら、クレームをいかにブラッシュアップしていくかという点にあります。

クレーム作成時に検討すべき事項
  • 特許性(主に新規性・進歩性)はどうか?
  • もっと権利範囲の広いクレームは書けないか?
  • 競合他社に回避されにくいクレームになっているか?
  • 侵害品を特定しやすいクレームになっているか?

すべてについて深掘りすると弁理士の実務そのものとなってしまいますので(笑)、ここでは2つ目のクレームを広げる検討例に少し触れておくだけにします。

例えば、特許面談で登場した『転がり防止』という効果に着目すると、次のようなストーリーを作ることもできます。

『転がり防止』に着目したストーリー

課題:丸いシャーペンや鉛筆だと転がってしまう
 ↓
解決手段:シャーペンや鉛筆の側面に消しゴムを取り付ける
 ↓
効果:消しゴムによって転がりを防止できる

この場合は、『消しゴムが側面に取り付けられた鉛筆またはシャーペン』というクレームが書けますね。

シャーペンだけでなく鉛筆も権利範囲に含めるようにクレームを広げることができました。

さらに、最近はインクが消せるボールペンもあるので、『消去具が側面に取り付けられた筆記具』というクレームまで広げることも考えられます。

しかし、クレームを広げれば広げるほど、審査で新規性(今までにない新しいものであるという要件)や進歩性(容易に思いつくことができないという要件)をクリアしにくくなります。

なぜなら、クレームを広げると、その分、すでに世の中に存在するものがクレームの範囲内に入る可能性が高くなるからです。

そこで、クレームには一番広いクレーム(メインクレーム)のほかに、メインクレームよりも範囲を限定したサブクレームを用意しておくのが一般的です。

例えば、こんなクレームが考えられます。

クレームの例

【請求項1(メインクレーム)】
 消去具が側面に取り付けられた筆記具
【請求項2(サブクレーム)】
 消しゴムが側面に取り付けられたシャーペン

仮に、審査で「請求項1は新規性や進歩性がない」と審査官に指摘されたとします。

その場合、「請求項2のシャーペンの場合は、芯が勝手に出ないというシャーペン特有の効果もある」と主張すれば、請求項2を特許してもらえる可能性があります。

このように、メインクレームの特許性を否定された場合でも、サブクレームを用意しておけばそこで権利化できる可能性があります。

長くなりましたが、クレーム作成のイメージはできたでしょうか?

個人的には、明細書や図面の作成は面倒臭くてあまり好きではないですが(笑)、クレームの作成は難しくも非常に面白い知的作業だと思います。

明細書作成に必要な能力

明細書作成に必要は能力は大きく次の3つがあります。

明細書作成に必要な能力
  • 技術理解力
  • 文章力
  • コミュニケーション能力

明細書作成の内容を考えれば、『技術理解力』と『文章力』が必要なのはわかってもらえると思いますが、『コミュニケーション能力』はなぜ必要なのでしょう?

いいクレーム、いい明細書を書くためには、特許面談で有用な情報をできる限り聞き出す必要があります。そのときに『コミュニケーション能力』が必要となるのです。

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特許事務所によっては、特許面談の取りまとめはリーダー職の弁理士が行って、それをほかの弁理士や特許技術者に伝えて明細書作成を行うという体制になっているところもあります。

そういう体制だと、明細書作成を担当する弁理士や特許技術者には高度なコミュニケーション能力は必要ありません。

しかし、一人前の弁理士として自立できるかどうかは、特許面談をこなせるコミュニケーション能力があるかどうかが大きなポイントとなります。

これがクライアントから信用を得られるかどうかの分岐点になるからです。

なので、これから弁理士を目指す人、特許事務所に転職する人は、単に明細書が書ける弁理士ではなく、特許面談を自分でリードできるようになることを目指してください。

それが特許業界で生きていく上での大きな強みになると思います。

この記事を読んで「弁理士の仕事って面白そう!」と感じた人は、適性が高いと思いますので、ぜひ特許業界に飛び込んできてください!

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トンボ

こんな書類を毎日書くなんて僕には難しそうだなぁ。

カブト

何度も言うけど、慣れれば何とかなるもんだよ。

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