とりあえず弁理士試験の勉強を独学で始めようと思うんですが…。
論文試験は独学では厳しいけど、短答試験だけなら十分可能性はあると思うよ!
上の記事で書いたように、「独学で弁理士試験に合格できるか?」という質問に対する私の答えは、「論文試験は厳しいけど短答試験なら独学でも可能性はある!」です。
覚悟を決めて予備校に申し込むのが合格への一番の近道だとは思いますが、「勉強が続けられるかわからないし、いきなり予備校に大金をつぎ込むのはちょっと…」という人もいるでしょう。
あるいは、「様子見を兼ねてとりあえず独学で勉強を始めてみたい」という人もいるかもしれませんね。
そんな人たちに向けて、「短答試験を独学で合格するための勉強法」をお教えしたいと思います。
独学かどうかに関係なく参考になる部分もあると思いますので、受験生のみなさんに読んでもらえると幸いです。
短答試験の勉強に必要な参考書・問題集
独学で勉強をはじめる際に、最低限準備すべき参考書や問題集は以下の6冊(3種類)です。必ず最新版を確認のうえ、購入してください。
短答試験に絞り込んだ勉強の場合は、これだけでなんとかなります。青本も短答試験だけなら不要です。
むしろ、いろんな本に手を出しすぎて収集がつかなくなるというのがよくある失敗パターンなので、最初に買う参考書は最低限にとどめておきましょう!
いつでも買い足すことはできますからね。
必須というわけではありませんが、もう1冊挙げるなら四法対照です。
四法対照は四法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)を対比しながら理解するのに便利ですし、余白が多いのでそこに書き込みを行えば、情報集約ノートとしても使えます。
なお、論文試験や口述試験も含めた勉強に必要な参考書や問題集については、こちらの記事を参考にしてください。
短答試験で目指す得点は?
短答試験は1問1点のマーク式の試験です。全部で60問で60点満点。配点は以下のとおりです。
- 特許法・実用新案法:20点
- 意匠法:10点
- 商標法:10点
- 条約(主にパリ条約・PCT・TRIPs・マドプロ):10点
- 著作権法・不正競争防止法:10点
ここ数年、短答試験の合格最低点は39点が続いているので、40点を目標にしましょう。
40点の内訳の目安はこんな感じです。
- 特許法・実用新案法:14点/20点
- 意匠法:9点/10点
- 商標法:7点/10点
- 条約:5点/10点
- 著作権法・不正競争防止法:5点/10点
四法の勉強はそのまま論文試験にもつながるので、各科目で7割以上を得点できるように、時間を割いて手厚く勉強しましょう。
意匠法は条文数が比較的少ないので、問題が出尽くしている感があります。なので、意匠法では、10点満点に近い点数を稼いでおきたいところです。
サブ科目(条約、著作権法、不正競争防止法)は短答試験でしか出題されないので、割り切って効率のよい勉強を心がけましょう。
具体的には、サブ科目に関しては次のような戦略が有効かと思います。
【条約の戦略】
条文数の少ないパリ条約はすべて正解するつもりで手厚く勉強。パリ条約以外は10年分の過去問で出てきたことを中心に覚えるのみにする。
【著作権法・不正競争防止法の戦略】
条文数の少ない不正競争防止法はすべて正解するつもりで手厚く勉強。著作権法は10年分の過去問で出てきたことを中心に覚えるのみにする。
多少イチかバチかというところもありますが、この戦略で5点という目標得点に何とか手が届くと思います。
独学で短答試験を突破するための勉強方法
次に、具体的な勉強方法について説明します。
まずは全体を概観するつもりで読みます。この時点で条文集は開かなくてもいいです。
この時点では全然できなくて当然。ただし、知識の定着を図るため、答え合わせと確認は時間をかけてしっかりやりましょう。
条文集もチェックしながら深めに読み込みます。
全然解けなくて泣きそうになっても、過去問を解くことで知識が血肉となるのでくじけずがんばりましょう。
実用新案法、意匠法、商標法、パリ条約、不正競争防止法を優先的に。
時間の許す限り過去問を解きまくります。
本番の2か月前ぐらいから始める。
一言でいえば、ひたすら過去問って感じです(笑)。
大事なのは過去問に早い段階から手をつけること。
最初は全然わからなくてストレスが溜まると思いますが、どういう問題が出題されるのかを知っておくことで、その後の勉強での力の入れ方がわかるようになります。
あと、過去問を解く際には、必ず1つ1つの枝に対して〇×をつけましょう。いくつあるか問題でたまたま正解しても意味がないので…。
ステップ6では、2回連続で「自信を持って正解できた」という枝に関しては、次からは解かなくても結構です。
こうすることで、苦手な問題を繰り返すことに時間が取れるようになり、効率的な知識の定着が可能となります。
ステップ4あたりからは、1冊のノート(四法対照でOK)にどんどんメモを書き込んでオリジナルの参考書を作りましょう。
くれぐれもメモをいろんなノートや参考書に分散させないように!
条文集は色鉛筆(紙質によってはマーカーはにじみます)で線を引きまくって、カラフルに仕立て上げることをオススメします。
例えば、重要なポイントは赤、用語を定義している箇所は緑、但し書きなどの例外的事項は青といったように色分けすれば、右脳を刺激して記憶効率を高めることができます。
最後のステップ7では、それまで使っていた体系別問題集ではなく、特許庁のホームページで過去問をプリントアウトして、本番と同じ条件(3時間半で60問)で解きます。
ここで一番重要なのは、すべての問題を解けるスピード感覚を身につけることです。時間配分を意識しましょう。
過去問以外にもチャレンジする余裕があれば、LECの短答公開模試オススメです。特に法改正があった年は、できるだけ申し込むようにしましょう。
最後にポイントをまとめます。
- 参考書はいろんなものに手を出さずに同じものを使い込む
- サブ科目についてはパリ条約と不正競争防止法以外にあまり時間を割かない
- 過去問を早い段階から繰り返し解く
- 情報は1つのもの(四法対照がオススメ)に集約する
- 条文集には色鉛筆で線引きして右脳を刺激すること
- 一度は必ず本番と同じ条件で問題を解き、時間配分を意識すること
最後に誤解のないように言っておくと、「短答試験は独学でもなんとかなる」のは本当ですが、決して独学をオススメしているわけではありません。
本気で短期合格を狙っている人は、最初から予備校を利用したほうがいいでしょう。そのほうが、最終合格に早くたどり着けると思います。
この勉強法だとどれぐらいで合格できますか?
人にもよるけど、半年集中してやれば可能性はあると思うよ。