弁理士ってほかの士業と比べてどうなんですか?
そんな漠然と聞かれても…(苦笑)。
弁理士である私が言うのもどうかと思うのですが、弁理士って積極的になりたいという職業よりも、消去法でたどり着くことが多い職業だと思います(苦笑)。
そして、消去法の過程では、弁理士以外の士業を検討する人もいるのではないでしょうか?
この記事では、「弁理士以外にオススメできそうな士業は?」という切り口から、ほかの士業を眺めてみたいと思います。
ただ、私も弁理士以外の士業に関しては詳しいわけではないので、トンチンカンなことを書いているかもしれませんが、そのときは優しく指摘していただけると幸いです(笑)。
士業の年収・難易度ランキング
給料BANKに掲載されていた士業の平均年収と難易度はこちらのとおりです。
順位 | 資格 | 平均年収 | 難易度 |
---|---|---|---|
1位 | 弁護士 | 1,168万円 | S+ |
2位 | 公認会計士 | 880万円 | S |
2位 | 税理士 | 880万円 | S |
4位 | 司法書士 | 864万円 | S |
5位 | 不動産鑑定士 | 752万円 | S |
6位 | 一級建築士 | 672万円 | A |
7位 | 弁理士 | 640万円 | A+ |
8位 | 社会保険労務士 | 640万円 | A+ |
9位 | 土地家屋調査士 | 574万円 | A |
10位 | 行政書士 | 531万円 | A |
年収・難易度ともに堂々の1位はやはり弁護士で、公認会計士と税理士が同率で2位となっています。弁理士の年収ランキングは7位、難易度はA+となっています。
「弁理士試験の難易度はSランクでは?」と少し不本意なところもありますが、まあまあ妥当なランキングでしょう。
みなさんの感想はいかがですか?
各士業と弁理士の比較
次に、各士業を弁理士と比較しながら見ていきたいと思います。上のランキングの順番に見ていきましょう。
弁護士 vs 弁理士
弁護士は、法律全般のプロフェッショナルで、資格としての難易度も年収もほかの士業より頭一つ抜け出しています。
弁護士の社会的責任、専門性、業務の難易度などを考えると、弁護士が高給なのは当然のことだと思います。
しかし、最近は弁護士の数が増えたこともあって、「食っていけない弁護士」も相当数いると聞きます。
「資格さえ取ればなんとかなる」という甘い考えが通用しないのは弁護士も弁理士も同じです。
デキル弁護士の年収が弁理士のはるか上を行くのは間違いありませんが、競争相手も有能な人間ばかりでしょうから、弁護士として身を立てていくのはそれはそれで大変だと思います。
弁護士の資格があれば弁理士業務も可能ですが、理系の知識が必要で、しかもそんなにオイシイわけでもない弁理士業務に弁護士が参入してくる例はあまりありません(苦笑)。
特許訴訟に興味がある人は、弁護士か弁理士のどちらを目指すべきか迷うかもしれませんが、『訴訟』そのものに興味があるなら弁護士を目指したほうがいいです。
弁理士も確かに特許訴訟には携わることができますが、その機会はほとんどありませんし、あったとしても特許の専門家として訴訟の一部に関与する程度にすぎません。
このあたりについては、こちらの記事を参考にしてください。
弁護士は、年収も難易度も士業のトップを誇る。特許訴訟に携わりたいという人は、弁理士よりも弁護士を目指したほうがいいかも。
公認会計士 vs 弁理士
公認会計士は、昔から弁護士に次ぐ難関資格として知られており、弁理士よりも安定的に稼げる資格であることは間違いありません。
弁護士ですら年収が低下している昨今においても、公認会計士の平均年収は上昇傾向にあるというのですから、うらやましい限りです。
ただ個人的には、公認会計士の多くが勤務している監査法人というのが、ほかの士業の事務所と比べるとかなり大きな組織であるのが気になります。
私は「会社人間にはなれない」と思って弁理士になったタチなので、なんとなく企業の雰囲気に近そうな監査法人にあまり魅力を感じません。
まあ、監査法人の規模が大きいからこそ、公認会計士の収入も安定しているのかもしれませんが…。
ちなみに、監査法人の待遇がよいためか、公認会計士で独立開業する人はあまり多くないようです。
公認会計士は、弁理士よりも年収・難易度ともに高い。勤務先の監査法人の待遇がいいためか、公認会計士で独立開業する人は少なめ。
税理士 vs 弁理士
税理士は、ランキングでは年収・難易度ともに公認会計士と同じになっていますが、私の中では失礼ながら公認会計士より格下のイメージが強いです。
税理士先生たちに怒られるかもしれませんが、知り合いの話を聞いている限りは、税理士の年収・難易度はどちらも弁理士と同程度ではないかという印象です。
独立していない勤務税理士と勤務弁理士を比べると、「勤務弁理士のほうが恵まれている」という印象が強いです。
ただし、税理士の場合は、世間に潜在的なクライアントが多いので、弁理士よりも独立開業がしやすそうなのが魅力です。
税理士は、弁理士と年収も難易度も同程度ではないかと思われる。弁理士よりも独立開業がしやすそう。
司法書士 vs 弁理士
司法書士は昔から難関資格の1つとして知られており、今でも司法書士試験の合格率は3%台と難しいようです。ちなみに弁理士試験の合格率は6~7%台です。
しかし、メインの登記業務が大きく減少しているため、司法書士の年収はかなり下がっているとのこと。司法書士の平均年収が864万という上のデータは少し古いのかもしれません。
例えば、平均年収.jpでは、司法書士も弁理士も平均年収が700万円台となっており、こちらのほうが実際に聞く話に近い感じがします。
弁理士のほうが試験の難易度は低く年収も若干よさそうなので、司法書士より弁理士を目指したほうがコストパフォーマンスが高そうです。
ただし、司法書士は文系資格、弁理士は理系資格であるため、そもそも司法書士と弁理士とで悩む人はあまりいないでしょう。
司法書士は、弁理士よりも難易度は高いが年収は低そう。そもそも、司法書士は文系、弁理士は理系なので、この2つで悩む人はあまりいないか。
不動産鑑定士 vs 弁理士
不動産鑑定士は、弁理士より年収・難易度ともに高くなっています。
弁護士、司法書士、弁理士などの年収が近年低下傾向にあるのと比べると、不動産鑑定士の年収は比較的安定しているようです。
不動産を評価するための現地調査が多いとのことで、デスクワークばかりの弁理士からするとその点がうらやましいです。
不動産鑑定士は基本的に文系の資格と言われていますが、不動産というモノを分析して評価する仕事は、むしろ理系の人に向いていそうな気がします。知りませんけど…。
弁理士より年収もよさそうですし、出張も多くて楽しそうなので、「不動産鑑定士のほうがよかったかな」と、この記事を書きながら少し悔やんでいます(笑)。
不動産鑑定士は、弁理士よりも年収・難易度ともに高い。基本的に文系の資格らしいが、理系にも向いてそうな気がする。
一級建築士 vs 弁理士
一級建築士は、難易度は弁理士より低いものの、年収は弁理士よりも少し高くなっています。
一級建築士は、受験するのに大学で建築系の所定科目の単位が必要です。また、実務経験が必要だったり、製図が試験科目にあったりと、ほかの士業とは毛色が異なります。
一級建築士は、ゼネコンや設計会社といった民間企業に勤務している人が多いという点も士業の中では珍しいかと思います。
一級建築士を目指す人は学生のころからその意志を固めている人が多いと思うので、「一級建築士にしようか、弁理士にしようか」と迷うような人はほとんどいないでしょう。
一級建築士は、弁理士より難易度は低いが、年収は少し高い。一級建築士と弁理士で迷う人はほとんどいないと思われる。
社会保険労務士 vs 弁理士
社会保険労務士は、上のランキングでは年収・難易度ともに弁理士と同じとなっていますが、失礼ながら、これは弁理士として納得しかねます。
知名度では社労士に完敗ですが、年収や難易度は弁理士のほうが上という認識のほうが一般的だと思います。
例えば、平均年収.jpでは、社労士の平均年収が600万前後に対し、弁理士が760万となっています。
また、社労士も弁理士も試験の合格率は同程度ですが、弁理士試験は理系の高学歴者が集まっており、弁理士試験のほうが実質的な難易度は高いと思います。
社会保険労務士は司法書士などと同様に文系の資格なので、弁理士を検討している人の候補にはなりにくいと思います。
社会保険労務士は、弁理士より年収も難易度も低いはず。そもそも、社会保険労務士は文系の資格なので、弁理士を検討している人の候補には入ってこなさそう。
土地家屋調査士 vs 弁理士
土地家屋調査士は、年収・難易度ともに弁理士より低くなっています。
不動産の取引が停滞したり、公共工事が削減されると仕事が減るため、不景気の影響を受けやすい士業と言われています。
土地家屋調査士の仕事は、測量作業や図面作成などがメインであるため、理系の人にも向いていると思います。
弁理士がほとんどデスクワークであるのに対して、土地家屋調査士は炎天下や雨の中で測量を行うこともあり、意外と肉体労働的なところもあるようです。
土地家屋調査士は、弁理士より年収も難易度も低い。弁理士試験のハードルが高いと感じる理系の人なら、土地家屋調査士を検討してもいいかも。
行政書士 vs 弁理士
行政書士は、弁理士と比べて年収も難易度も低いです。
行政書士は官公庁に提出する幅広い書類の作成を行うことができますが、独占業務はあまり多くありません。
そのためか、行政書士会が弁理士の独占業務である商標出願業務を開放するように運動していたこともあり、弁理士としては油断ならない相手です(笑)。
弁理士資格を持っていれば行政書士になることもできますが、実際に弁理士で行政書士の仕事をしている人は聞いたことがありません。
反対に、行政書士資格を持っていれば弁理士試験の一部が免除されることから、行政書士から弁理士へのステップアップを狙う人は一定数いるようです。
行政書士は、弁理士より年収も難易度も低い。弁理士資格があれば行政書士にもなれるが、行政書士になることのメリットは特に見当たらない。
オススメの士業は?
以上、長くなりましたが、弁理士以外に興味のある資格は見つかりましたか?
今の時代、どの資格にも共通して言えるのは、「資格を取っただけで安泰とはならない」ということです。
弁理士も厳しい時代が続いていますが、弁理士のメイン業務である特許出願業務は、文系が多いほかの士業に侵されにくく、これは弁理士の大きなメリットだと改めて思いました。
弁理士の年収や適性については、以下の記事も参考にしてください。
「弁理士以外にオススメできそうな士業は?」という質問に対する私の答えをまとめておきます。
技術に興味がある理系の人は、ぜひ弁理士を目指してください。成果主義の世界なので、能力が高ければ若くして年収1,000万も可能ですよ。
理系でも「数字には強いけど技術には興味がない」という人なら、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士あたりが候補になると思います。
文系の人は弁理士を目指すメリットがあまりないので、弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士あたりを狙うのがよさそうです。
本気で士業への転職を考えるなら…
本気で士業への転職を考えるなら、専門の予備校(資格スクール)や転職エージェントを利用して、転職の成功率を高めることを考えましょう。
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今回紹介したものはいずれも難関資格の部類に入るものなので、予備校(資格スクール)で勉強するのが合格への近道です。
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さあ、あなたが目指したいと思う資格は見つかりましたか?
たとえ弁理士じゃなくても、あなたが目指したいと思う士業が見つかるヒントになれば幸いです。
カブト先生は弁理士を選んでよかったと思いますか?
「不動産鑑定士のほうがよかったかな」とちょっと思ってたりして(笑)。