弁理士っていったい何をするんですか?
特許権や商標権を取るためのお手伝いをするんだよ。
便利屋とよく間違われる弁理士(涙)。弁理士とはいったい何者なのでしょう?
この記事では、士業の中でもマイナーな弁理士がどういう職業なのか、簡単にわかりやすく説明したいと思います。
弁理士の法律上の定義
弁理士に関する事項は、『弁理士法』という法律に定められています。弁理士法第1条には、弁理士の使命が次のように規定されています。
弁理士は、知的財産に関する専門家として、知的財産権の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを使命とする。
弁理士法によれば、弁理士とは『知的財産の専門家』であり、知的財産権に関わる職業であることがわかります。
知的財産、知的財産権とは?
では、知的財産や知的財産権とは何なのでしょうか?
人間の知的創造活動によって生み出された、技術的なアイデアや製品のデザインなど、財産的な価値のあるものを『知的財産』と言います。
知的財産は、家や自動車のような有体物ではないので占有することはできず、第三者に真似をされるとその価値が大きく損なわれます。
そこで、『知的財産権』と呼ばれる権利を法律で規定することによって、知的財産の保護が図られているのです。
産業財産権とは?
知的財産権と言われてもピンとこないかと思いますが、特許権や商標権なら聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
特許権や商標権は知的財産権の一種であり、知的財産権の中でも『産業財産権』と呼ばれるグループに属します。
特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つは、知的財産権の中でも特に産業の発展と関わりが深いので『産業財産権』と呼ばれます。一昔前は『工業所有権』と呼ばれていました。
ちなみに、産業財産権以外の知的財産権の一例としては、ニュースなどにもよく登場する著作権があります。
いろんな言葉が一気に出てきましたが、「特許権、実用新案権、意匠権、商標権をまとめて『産業財産権』と呼ぶ」ということだけ覚えておいてください。
専門用語だらけだ~(泣)
とりあえず『産業財産権=特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つ』ということだけ覚えてくれたらいいよ。
弁理士は産業財産権の専門家
産業財産権は、その権利を侵害した人に損害賠償請求や差止請求のできる強い権利なので、残念ながら自然に発生するわけではありません。
この点、よく知られている著作権と大きく異なります。
産業財産権を取得するためには、『特許庁』によって行われる審査をパスする必要があります。
具体的には、特許庁に対して『出願』と呼ばれる手続きを行い、特許庁の審査官によって所定の要件を満たしているかどうかの『審査』を行ってもらうのです。
審査の結果、審査官に要件を満たしていると認められると、産業財産権を取得することができます。
特許庁への手続きは複雑で専門的なので、素人が一朝一夕にできるものではありません。
そこで、弁理士の登場です。
弁理士は、産業財産権を取得するために必要な手続きに精通した専門家なのです。
クライアントから依頼を受けて特許庁への手続きを行い、それに対して報酬をいただくのが弁理士の仕事です。
特許庁への手続きの代理は、弁理士のみに許された独占業務であり、弁理士以外の者が行うことは許されません。
このような独占業務を専門に行うのが特許事務所で、多くの弁理士は特許事務所で働いています。
独占業務があることは弁理士の大きな強みです。
弁理士は理系が有利な資格
弁理士の仕事は、産業財産権を取得するための手続きを代理することですが、中でも特許に関する業務が圧倒的に多くなっています。
特許業務をこなすには、特許法などの法律だけでなく、発明が理解できるように技術にも精通していることが求められます。
このため、弁理士の多くは理系出身となっています。
もちろん、文系出身であっても、実務の中で技術を勉強することもできますし、意匠や商標専門の弁理士として身を立てていく方法もあります。
しかし、一般論としては、弁理士として活躍したいなら文系よりも理系のほうが有利です。
以上、「弁理士とは何なのか?」についてできるだけ簡単に説明してきましたが、イメージは持てたでしょうか?
弁理士の具体的な仕事内容に興味のある人は、こちらの記事もよかったらご覧ください。
弁理士は「特許を取るお手伝いをする人」なんですね。
その通り!その理解でバッチリだよ!