2.産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)とは?

弁理士のキホン
トンボ
トンボ

産業財産権についてもう少し詳しく教えもらえませんか?

カブト
カブト

了解!少し難しいところもあるかもしれないけど、細かいことは気にしなくていいからね。

下の記事で、「弁理士は産業財産権を取得するための特許庁への手続きの代理業務(権利化業務)に精通した専門家である」というお話をしましたが、産業財産権について詳しくは説明していませんでした。

1.弁理士とは何かを簡単に説明すると?
トンボ 弁理士って一体何をするんですか? カブト 特許権や商標権を取るためのお手伝いをしているんだよ。 便利屋とよく間違われる弁理士(涙)。弁理士とは一体何者なのでしょう? ...

弁理士の仕事内容を理解するためには、産業財産権についてある程度の知識は必要です。この記事を読んで、産業財産権の概要について理解してもらえれば幸いです。

特許権、実用新案権、意匠権、商標権の比較

産業財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つがあります。それぞれがどういう権利なのか、比較をしながら説明したいと思います。

権利規定法保護対象存続期間
特許権特許法発明出願日から20年(一部25年)
実用新案権実用新案法考案(小発明)出願日から10年
意匠権意匠法意匠(デザイン)登録日から20年
商標権商標法商標(文字やマークなど)登録日から10年(更新可能)

発明、考案、意匠、商標

特許権・実用新案権

特許権も実用新案権も、技術的なアイデアを保護対象としている点で共通していますが、保護対象が少しだけ異なります。

特許権は『技術的なアイデアのうち高度なもの(発明)』を保護対象としているのに対し、実用新案権は『比較的簡単な小発明(考案)』を保護対象としています。

特許権を得るためには、出願された発明が、特許法に規定されている要件をクリアしている必要があります。

要件の一例を挙げると、産業に利用できるか(産業上の利用可能性)、今までにない新しいものか(新規性)、容易に思いつくことはできないか(進歩性)などがあります。

一方、実用新案権に関しては、出願された考案について実体的な審査は行われず、形式的な要件さえ満たせば権利が付与されます。その分、権利としては特許権よりも弱いものとなっています。

このため、特許権を取得するのは難しそうな場合、早期の権利化を目指す場合、宣伝効果のためにとりあえず権利が欲しい場合などに、実用新案権を取得するケースが多いです。

意匠権

意匠権は『物のデザイン(意匠)』を保護対象としています。

意匠権を得るためには、出願された意匠が、意匠法に規定されている要件をクリアしている必要があります。

意匠の審査では、別にデザイン的に優れているかどうかが問題となるわけではなく、今までに同じ意匠がないか、似たような意匠がないかがポイントとなります。

商標権

商標権は『商品やサービスを認識するための文字やマークなど(商標)』を保護対象としています。

商標権を得るためには、出願された商標が、商標法に規定されている要件をクリアしている必要があります。

創作性を保護する特許権、実用新案権、意匠権とは異なり、商標権は商標を使用することで蓄積された業務上の信用を保護することを目的としています。

このため、商標権は繰り返し更新すれば、永久的に権利を維持することができます。存続期間が経過したら消滅する特許権などとは大きく異なる点です。

カブト
カブト

商標権だけは、ほかの3つと少し毛色が違うんだ。

産業財産権を取得する意義

産業財産権は、権利者に『独占排他権』を与える非常に強い権利です。

例えば、ある発明に対して特許権が設定されると、特許権を持っている人(特許権者)だけがその発明(特許発明)を実施することができ、第三者は基本的に特許発明を実施することができません。

仮に、第三者が特許権者の許可なく特許発明を実施した場合には、特許権者は損害賠償や実施の差止めなどを求めて訴えを起こすことができます。

また、特許権者は、特許権を売ったり、第三者に特許発明の実施を許可してライセンス料を得たりすることもできます。

このように強い権利である特許権は、企業にとっては自社が持てば強い武器になりますが、他社に取られると大きなダメージになりかねません。実用新案権、意匠権、商標権でも同じことが言えます。

このため、企業では、発明や商標などの知的財産を産業財産権として権利化して、自社の事業を強化したり、他社から訴えられるリスクに備える必要があるのです。

そして、その手伝いをするのが弁理士の仕事というわけです。

まとめ

産業財産権の概要についてお話してきましたが、少しはイメージがつかめたでしょうか?細かいことは気にしなくていいので、ポイントだけ整理しておきましょう。

産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)は独占排他的な強い権利である。
企業活動の強化やリスク低減のために、産業財産権を取得しておくことは重要である。
トンボ
トンボ

発明家と言えばドクター中松!

カブト
カブト

そ、そうだね・・・。でも、ほとんどの特許権は、個人発明家ではなく、企業が特許権者となっているよ。

『弁理士のキホン』の次の記事はこちらです。

3.産業財産権を取得するための特許庁への手続きの流れ
トンボ 産業財産権を取るための手続きってどういうものなんですか? カブト 特許庁に「この内容で権利がほしい」という趣旨の書類を提出して、それを審査官に審査してもらうんだ。 弁理...