弁理士も訴訟代理ができる?弁護士との違いは?

弁理士あれこれ
トンボ
トンボ

弁理士も訴訟に関わることがあるって本当ですか?

カブト
カブト

おっ、よく知ってるね。知的財産に関する一部の訴訟については、弁理士も訴訟代理人や補佐人になることができるんだ。

訴訟と言えば、普通は弁護士の専門領域ですが、実は弁理士も訴訟に関わることがあります。

この記事では、弁理士が関わる訴訟について説明したあと、弁護士との役割の違いなどについてお話ししたいと思います。

弁理士が関わることのある訴訟

弁理士の主な業務は、明細書作成や中間処理などの権利化業務ですが、訴訟業務をすることもあります。

4.弁理士の主要業務(明細書作成と中間処理)を具体例で説明してみると?
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まずは、弁理士が関わる可能性のある2つの訴訟について説明します。

侵害訴訟

『侵害訴訟』とは、正確には『特定侵害訴訟』と言い、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を侵害する行為などに対して、損害賠償や侵害行為の差止めなどを求めて提起される訴訟のことです。

新聞記事などで『特許訴訟』という言葉を見たことがあると思いますが、特許権の侵害行為に関する侵害訴訟を意味しています。

侵害訴訟では、弁理士は単独で訴訟代理人になることはできません。ただし、付記弁理士であれば、弁護士と共同受任することを条件に訴訟代理人になることができます。

『付記弁理士』とは、弁理士試験とは別の『特定侵害訴訟代理業務試験』という試験に合格し、登録を受けた弁理士のことです。付記弁理士については、下の記事で詳しく書いています。

付記弁理士にはならなくてもいい?
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ちなみに、弁理士であれば、侵害訴訟の補佐人なら無条件でなることができます。

訴訟代理人と比べると権限に制限がありますが、弁理士であれば、少なくとも補佐人として侵害訴訟に関わることは可能です。

審決取消訴訟

『審決取消訴訟』とは、拒絶査定不服審判や無効審判などの審決に不服がある場合に、審決の取り消しを求めて提起される訴訟のことです。

審判とは、特許庁の審判官(審査官よりも上級職)の判断を仰ぐための制度です。

例えば、『拒絶査定不服審判』とは、審査官が下した拒絶査定に不満がある場合に、審判官によってもう一度審査してもらう制度です。無効審判についての説明は省略します。

審判で下された審決に不服があれば、さらに審決取消訴訟によって裁判所(知財高裁)に訴えることができるのです。

審決取消訴訟の場合は、弁理士であれば単独で訴訟代理人になることができます。付記弁理士である必要もありませんし、弁護士との共同受任が条件ともなりません。

弁護士と弁理士の役割の違い

訴訟において、弁護士と弁理士でどのような役割の違いがあるのでしょうか?

訴訟を進行していくに当たって主導権を握るのは、やはり訴訟に長けている弁護士です。

私も一度だけ侵害訴訟に携わったことがありますが、訴状の作成や手続きの進め方などは、ほとんど弁護士に任せっきりでした。

一方、イ号(侵害被疑品のこと)が特許権を侵害しているか否かの判断や、対象の権利に無効理由があるか否かの判断などは、法律的な判断だけでなく技術的な理解が必要となります。

このように技術的な話が出てくる場面では、技術に精通した弁理士の見解が求められます。

つまり、弁護士と弁理士が共同受任している場合、訴訟全体については弁護士が指揮をとりつつ、弁理士が専門性を有する部分については弁理士が補助するという形態が一般的です。

侵害訴訟をしたいなら特許事務所よりも知財部?

侵害訴訟はニュースで大きく取り上げられることもあり、弁理士志望者の中でも侵害訴訟に興味のある人は結構いるようです。

しかし、侵害訴訟の件数は非常に少なく、侵害訴訟に関わる機会はなかなかないのが現実です。

侵害訴訟に関わりたいなら、訴訟経験の豊富な特許事務所に入れば少しは可能性が高まると思いますが、そういう特許事務所に入ったとしても訴訟業務をさせてもらえるかどうかはわかりません。

そこで、侵害訴訟をどうしてもやりたいという場合は、企業知財部に勤務するというのも一つの手です。

5.弁理士の勤務先は特許事務所か企業知財部のほぼ二択
トンボ 弁理士になったら、どんなところで働くんですか? カブト ほとんどの弁理士は、特許事務所か企業の知財部のどちらかで働いているよ。 弁理士の勤務先ってどんなところか、みなさ...

知財部であれば、弁理士資格がなくても訴訟に関わることが可能です。また、訴訟にまでならなくても、その前段階の警告書のやり取りなどに携わる機会は、特許事務所にいるよりも多いと思います。

ただ、知財部に入ったとしても、訴訟業務に関わることができるかどうかは、実力、年次、ポジションなどによるところが大きいようです。それに、訴訟業務ばかりできるということはあり得ないでしょう。

結局、特許事務所にしても企業知財部にしても、訴訟業務は仕事のごく一部にすぎないので、それ以外の仕事が自分の希望や適性に合っているかどうかをしっかり判断することが大事だと思います。

トンボ
トンボ

弁理士が法廷に出ることもあるんですね。カッコいいなぁ。

カブト
カブト

でも件数が少ないから、訴訟経験のない弁理士がほとんどだよ。