将来性ナシ?!これから弁理士を目指すなんてナンセンス?

弁理士あれこれ
トンボ
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弁理士資格さえ取得できれば一生安泰でしょうか?

カブト
カブト

そういう時代もあったんだけど、残念ながら今はそんなに甘くないよ。

20年ほど前までは、弁理士資格はかなりの高収入が期待できる魅力的な資格でした。しかし、今は資格さえあれば高収入が得られるというほど甘い状況ではありません。

ただ、以前と比べると魅力は減ったとは言え、今でも弁理士はそれなりに将来性のある資格だと思います。

この記事では、弁理士を取り巻く環境の変化と、これから弁理士を目指すことの是非についてお話したいと思います。

弁理士資格に希少価値があった時代

まず、2000年ごろまでの弁理士の状況についてお話しましょう。

昔の弁理士試験は、今よりもっとマイナーな試験で受験者数も少なく、合格率が3%前後と非常に難易度の高い試験でした。そのため、弁理士数は少なく、弁理士資格に希少価値がありました。

それゆえに、弁理士資格さえあれば、独立開業して経営を軌道に乗せることはそれほど難しいことではなく、「弁理士=独立開業」という考え方が一般的でした。

また、このころは弁理士業務に対する報酬額を定めた『弁理士報酬額表(料金表)』というものが存在していました。この料金表のおかげで弁理士の高給が保証されていたと言っても過言ではないでしょう。

つまり、当時は弁理士になることが今よりずっと難しかったのですが、弁理士になりさえすれば『希少価値』と『料金表』に支えられ、高収入が得られる職業でした。

弁理士にも規制緩和の波が・・・

「弁理士資格さえ取れれば安泰」という状況を一変させたのが、2001年に政権を握った小泉首相です。

小泉政権による『規制緩和』の波は特許業界(弁理士業界)にも押し寄せ、弁理士を増員する方向に舵が切られました。これによって、弁理士の希少価値の減少が始まります。

また、料金表が撤廃され、弁理士業務に対する定価がなくなりました。これを機に、大手のクライアントが特許事務所に対し一斉に値下げを要求するようになりました。

さらに、『知財立国』という国家戦略のもと、企業の知的財産への意識が高まってくるのもこのころです。企業知財部から特許事務所への注文が何かと増え、仕事にかかる手間は増えていくばかり。

つまり、特許業界に競争原理が導入されて単価が減少するとともに、品質アップの要求が厳しくなり、それまでのような殿様商売が通用しなくなってきたのです。

リーマンショックが特許業界を襲う

小泉政権による規制緩和によって、弁理士も殿様商売ではいられなくなりましたが、それは特許業界にも市場主義が導入され、過保護な状態から抜け出しただけと捉えることもできるでしょう。

しかし、そんな悠長なことを言ってられなくなる歴史的な大事件が起きます。あの『リーマンショック』です。

2008年のリーマンショックで経済活動が縮小した結果、年間の特許出願件数は40万件から35万件に激減し、その後もズルズルと減少傾向が続きました。

出願件数は減っているのに、弁理士の増加傾向は続き、弁理士1人当たりの出願件数は2割減、3割減と見る見るうちに減少していきました。

さらに、企業の値下げ圧力は強まることはあれど、弱まることはありません。

そんな状況が特に改善されることがないまま、今に至っているというのが特許業界の現状です。

トンボ
トンボ

リーマンショックおそるべし・・・

弁理士の将来性や魅力は?

ここまでの話だと弁理士のお先は真っ暗という感じです。「もはや、弁理士を目指す価値なんてないのでは?」と思った人もいるでしょう。

しかし、少し冷静に周りを見渡してみると、弁理士はまだまだそれなりに将来性のある職業だと思います。

まず、出願代理業務は弁理士の専権業務となっており、減少したとはいえ年間何十万件という出願の代理を弁理士で独占することができます。これは大きなメリットですよ。

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つまり、規制緩和で競争原理が持ち込まれたとはいえ、それは基本的に弁理士同士の競争にすぎず、弁理士以外との競争にはほとんどさらされていないという恵まれた(緩い)環境なのです。

多くの企業が世界中の企業を相手に競争している状況と比べると、弁理士同士の競争はたかが知れています。発明者の苦労話などを聞いていると、身の引き締まる思いがすることもあります。

また、弁理士業務はその専門性の高さゆえに、弁理士として実力を高めて『手に職』とすることができれば、組織に頼らなくてもいい、身軽な生き方ができるのは大きな魅力です。

例えば、勤めている特許事務所がイヤになってもほかの特許事務所へ簡単に転職できますし、いざとなれば独立開業だってできます。普通の会社員と比べると自由度はかなり高いと思います。

それに、弁理士は個人プレーで仕事がしやすいので、人間関係のストレスが少ないです。

企業で働いていると、人間関係のしがらみなどで、仕事以外の部分でストレスが溜まることも少なくないでしょう。

そういうのに疲れた人にとって、特許事務所はドライで居心地のいい職場だと思いますよ。少々ドライすぎるところもありますが・・・

最後に収入に関してですが、昔と比べたら悲しくなりますが、今でもそんなに悪くはありません。そこそこの実力があれば、そこそこの収入は得られます。詳しくは下の記事を参照してください。

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まとめると、弁理士には以下のような魅力があると思いますが、これを本当に魅力的だと思う人は弁理士を目指す価値は十分にあると思います。

  • 弁理士の競争環境は恵まれている(緩い)
  • 弁理士として実力をつければ身軽な生き方ができる
  • 個人プレーで仕事に取り組みやすく、人間関係のストレスが少ない
  • そこそこの収入を得られる

弁理士になるなら今がチャンス?!

さて、これからの特許業界はどうなっていくのでしょうか?

・・・それは私が知りたいです(笑)。

状況が大きく改善することはないと半ばあきらめていますが、逆にさらに悪化することもないと考えています(考えたいです)。

しばらく特許業界にとって厳しい状況が続いてきたため、最近は企業知財部に勤務する弁理士(企業内弁理士)が増えており、多くの特許事務所で優秀な人材を集めるのに苦労しています。

しかし、この状況はこれから特許業界に飛び込む人にはチャンスでもあります。

手強いライバルが少なく、あなたが活躍できる可能性が大きくなっていると考えることもできます。また、転職活動においても、あなたが特許事務所を強気で選べる立場にあるのです。

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弁理士の仕事に興味がある人は、今の状況に怖気づかずに逆にチャンスだと思って、ぜひ特許業界に飛び込んできてください!

トンボ
トンボ

今がチャンスって本当ですか?

カブト
カブト

トンボ君なら引く手あまただと思うよ!