弁理士の仕事って楽しいですか?
正直、楽しいと思えるかどうかはクライアントによるところが大きいね(苦笑)。
どんな仕事でも、いいお客さんであれば気持ちよく仕事ができるし、イヤなお客さんであれば仕事が苦痛になるということはありますよね。
弁理士の仕事も例外ではありません。
特許事務所と、特許事務所のメインクライアントである企業知財部とのお付き合いは、1回きりで終わることは少なく、長期間にわたって続くのが普通です。
そのため、どんなクライアントとお付き合いしているかが、弁理士の仕事を左右する部分はかなり大きいです。
✔総合電機(件数多いが単価安い、品質要求高い)
— カブト弁理士@転職相談ブログ (@kabuto_benrishi) January 22, 2020
✔自動車(品質要求高い)
✔遊技機(明細書長い、でも単価はよい)
✔プリンタ(品質要求高い)
上記各業界は一般的に厳しめのクライアントが多いように思う。
しかし、そういうクライアントに今まで鍛えてもらったのも事実です。
この記事では、弁理士や特許事務所にとっていいクライアント、イヤなクライアントってどんなクライアントなのかについて、お話したいと思います。
弁理士にとっていいクライアントとは?
いいクライアントに恵まれれば、弁理士としてのやりがいも感じられますし、特許事務所の経営も安定します。
そういう「いいクライアント」の獲得や維持が、この厳しいご時世で特許事務所が生き残っていくためにはこれまで以上に重要でしょう。
金払いがいい
弁理士業もビジネスですから、やはり金払いのいいクライアントが一番です(笑)。
成果や手間に対する報酬をきちんと払ってくれるクライアントに対しては、少々無理難題を振られようが、「このクライアントのためなら!」という気持ちで仕事に励めます。
特許事務所の経営者も、やればやるほど利益になるクライアントには、優秀な人材を惜しみなく用意します。
期限に関して対応が柔軟
弁理士は、いつも期限に追われながら仕事をしています。
手続きの法定期限を守るのは当然のことですし、「発明品がもうすぐ公開される!」といった状況で急ぎの対応をすることはやぶさかではありません。
しかし、なんでもかんでも厳しめの期限を設定されるとさすがにウンザリしてきます。
普段、特許事務所側の事情も考慮してくれるクライアントであれば、いざというとき「どんな急ぎ案件でも対応させてもらいます!」という気になります。
仕事がデキる
例えば、次のような知財担当者は、一緒に仕事をしていて「デキる人だな~」と感心します。感心すると同時に、「この人相手に手は抜けない」と気も引き締まります。
- 弁理士がわかっていない技術的な部分をフォローしてくれる
- 発明者がわかっていない特許的な部分をフォローしてくれる
- 「自分はこういう権利を取りたい」という意見を持っている
- ポイントだけ押さえて細かいところは弁理士に任せてくれる
重要なポイントは自らが主導権を握り、専門的な部分は弁理士に一任してくれるようなデキる知財担当者とは、適度な緊張感とやりがいを持って仕事に取り組めます。
弁理士にとってイヤなクライアントとは?
「いいクライアント」の裏返しになりますが、「イヤなクライアント」を挙げてみたいと思います。
ケチすぎる
クライアントが弁理士費用という経費をできるだけ抑えようとするのは理解できます。
しかし、我々も手間に応じた正当な報酬を払ってくれないクライアントと付き合っているとジリ貧です。千円単位の値切りを要求してくるクライアントとかあり得ないです(経験談)。
あまりケチなことを言われると、そういうクライアントの仕事は手を抜くことばかり考えてしまいます(笑)。
えっ、私だけですか?!
いつも期限が厳しい
特許事務所側にはいつも厳しめの期限を設定し、自分のほうは期限にルーズというクライアントが中にはいます。
同じ厳しさでも、意味のある要求や、「人に厳しく自分にも厳しく」ならわかるのですが、「人には厳しく自分には甘く」っていうクライアント、いるんですよね~。
そういうクライアントから依頼が来た場合、私は「2ヵ月後の着手になりますがよろしいですか?」というように先手を打つようにしています(笑)。
仕事ができないのに上から目線
上から目線の人間が嫌われるのは、何も仕事に限った話ではありませんよね。
上から目線の人に限って、
- 発明者と弁理士の間でただの伝書鳩になっている
- 自分の意見は言わずに、人の意見にケチばかりつける
- 重箱の隅をつつくような指摘ばかりする
というように、自分の付加価値を提示できない人が多いような気がします。
「仕事ができないのに上から目線」って、見てて本当に痛々しいですし、そういう態度を取っていると、自分が下に見られてしまいますよ。
クライアントを選べる弁理士を目指そう!
一部、個人的な不満を思いっきり吐き出してしまいました(笑)。
職人気質な弁理士先生からは、「クライアントによって左右されるなんて甘い!」、「どんなクライアントであろうと、淡々とプロとして仕事をすべき!」と怒られるかもしれません。
それは、その通りです。勤務弁理士をしている限り、自分でクライアントを選ぶなんてこともできませんしね。
ただ、特許事務所に転職する際には、どういうクライアントを持っている事務所なのかという視点も持っておいたらいいと思います。
どういうクライアントがいるのかを事前に調べたい場合は、下の記事を参考に過去の特許出願をチェックしましょう。
リーマンショック以降、右肩下がりから抜け出せない特許業界全体の底上げのためにも、値切りや無茶な要求に黙って応じるような風潮は変えていきたいものです。
特許事務所で経営職の人や、独立開業を目指す弁理士であれば、『クライアントの取捨選択』という視点を持つことも大事だと思います。
そのためには、我々もクライアントに選んでもらえるように精進を重ねる必要があります。また、発明者のおかげで我々の仕事があることへの感謝を忘れてはならないと思います。
弁理士さんって偉そうなイメージだったんですけど、いろいろ苦労もされてるんですね。
偉そうな人もいるけどね(笑)。