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【読者からの質問】学生時代から弁理士を目指すのはどう?

学生時代から弁理士を目指すのはどう?
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カブト

今日は、読者さんからいただいた質問を共有するね。

トンボ

どれどれ…。高校3年で弁理士試験の勉強?!スゴイ!!

先日、当ブログの読者さんから以下のような質問をいただきました。

いつも興味深いお話しありがとうございます。

わたしは高校三年生男子の父親です。息子が大学の付属校に通っています。大学受験が不要なので、弁理士試験の勉強を始めようかと検討していますが、一つ不安なことがあります。

息子は文理融合の情報系の学部に進学予定です。もし弁理士資格を取得できた場合、専門はIT系になると思いますが、文系クラスで物理や化学は基礎レベルしか学習していません。

特許出願件数の多い機械系などは経験を積んでも対応が難しいのではないかと思います。

大学ではデータサイエンスや機械学習を学習予定ですが、IT系の弁理士のニーズは今後、どのように予想されるでしょうか。IT系ソフトの特許明細作成はAIに代用されやすいとの記事も読んで、心配しています。

先生の個人的な意見で良いので、ぜひお聞かせください。

メールには息子さんのスペックも記載されていましたが、非常に高い英語力をお持ちのうえ、情報系資格の取得にも励んでおられるようです。

そんなに優秀な若者が弁理士を目指してくれるのは、先輩弁理士として非常に光栄でうれしいことなのですが、以下の2点において私の正直な意見をお伝えしました。

  • 学生時代から弁理士試験の勉強をすることについて
  • IT系の弁理士のニーズについて

質問者さんの承諾を得ることができたので、質問とそれに対する回答をブログでも共有したいと思います。

目次

学生時代から弁理士試験の勉強をすることについて

大学受験が不要だからと、高校3年の時点で将来のことを真剣に考えて弁理士試験の勉強を始めようとされる姿勢には感服します。

ただ、この点については聞かれてもいないのに、おせっかいを承知で、「学生時代から弁理士試験の勉強に励む必要はあまりないのでは?」と意見させてもらいました。

理由は大きく2つあります。

青春時代を弁理士試験の勉強に費やすのはもったいない

1つ目の理由は、貴重な青春時代を弁理士試験の勉強に費やすのはもったいないと思うからです。

それよりも、若いうちはスポーツ、アルバイト、趣味、旅行、恋愛などに励んだほうが、豊かな人生につながるのではないでしょうか?

かなり、おせっかいなおじさんの意見ですけど(苦笑)。

何か勉強に励むにしても、これから日本の地位が相対的に低くなっていく中、英語や中国語などの語学力のほうがつぶしがきくスキルとして有効だと思います。

弁理士試験の勉強は、もし将来の進路が変わった場合に無駄になってしまいますからね。そういう無駄も個人的には意味があるとは思うのですが、キャリア形成という点では加点にはなりません。

それに、弁理士は社会人になってからでも目指せる職業ですし、むしろそうしたほうがいいです。

技術者や研究者としての社会人経験は、弁理士として仕事をするうえで大いに活きてきます。

AI技術者のほうが魅力的では?

2つ目の理由は、大学でIT系、しかも花形のデータサイエンスや機械学習を学ぶ予定なら、その道で身を立てていくほうが、これからのAI社会、IoT社会で明るい将来が開けるように思うからです。

さきほども書いたように、弁理士は一度社会人経験を積んでから目指したほうがいいので、この点からもまずはAI技術者などとして企業で働いてみてはいかがでしょうか?

企業で働く中で「思っていたのと違う」、「自分には向いていない」となったときに、改めて弁理士を検討するのでも全然遅くありません。

やる気さえあれば弁理士を目指すのはいつでも可能ですが、AI技術者になれるチャンスは新卒を逃すとそうそう転がっていないのではないでしょうか。

IT系の弁理士のニーズについて

IT系の弁理士というのは、心配されているとおり、少し強みに欠けると思います。

弁理士の専門分野としては、機械、電気、ソフトウェア、化学、バイオなどがありますが、IT系出身となれば専門はソフトウェアということになります。

しかし、ソフトウェアといってもクレームや明細書に難しいプログラムを書くわけではなく、処理の流れを文章で説明する感じになります。

発明者からフローチャートや制御ブロックが提供されれば、それに沿って発明を理解することはそれほど難しくありません。

このため、文系の弁理士でも「ソフトウェアならできます」みたいな人がいますし、AIに取って代わられやすいというのも、このあたりが理由だと思います。

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「ソフトウェアが専門です」とアピールしても、それだけでは弁理士としての強みにはあまりなりません。

特許出願の案件としては、純粋なソフトウェアよりも、機械と組み合わせた制御処理の案件が圧倒的に多いので、機械は勉強しておいたほうがよいでしょう。

将来的に弁理士として活躍することを考えているなら、大学の教養課程で物理や機械を学んでおくとあとあと活きてくるでしょう。

組織に頼らない生き方…

せっかく弁理士試験の勉強を始めようとしているところに、水を差すようなことばかり書いてしまったかなと少し反省していたところ、質問者さんからお礼の返信をいただきました。

その中には、次のような一文が。

「息子は常々、組織に頼らない生き方をしてみたいと申しており、それが弁理士をめざす一番の理由です。」

私も大いに共感する考え方なので、一気に親近感が湧きました(笑)。

組織に頼らない生き方を実現する手段として、確かに弁理士という資格は使えるかもしれませんが、弁理士以外にも検討に値する資格はありそうです。

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それに、「資格さえあれば安泰」というのは平成でまったく通用しなくなり、それは令和も続くでしょう。

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AI技術者というのはとてもエキサイティングな仕事に思えますし、大きな組織に頼らなくても自分でスタートアップを立ち上げるなんてこともできるのではないでしょうか。

組織に頼らずに生きるために弁理士を目指すというのは1つの手だとは思いますが、10代から弁理士に絞り込んでほかの選択肢を排除してしまうのはもったいない気がします。

若いうちに一度は企業に入って揉まれたほうがいいというのは、昭和生まれの考えでしょうか?

世の中の仕組みを知るいい経験になりますし、ひょっとしたら「組織も案外悪くないな」と思うかもしれません。企業で働きながら自立した生き方を模索することだってできるはずです。

その結果、「やっぱり弁理士がいいな」となれば、そのときは両手を広げて歓迎します!

トンボ

すごくしっかりと考えているなぁ。僕も見習わなくっちゃ!

カブト

そうそう、トンボ君もがんばれ!

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