弁理士には残業手当がないって聞いたんですが本当ですか?
確かに残業代が出ない特許事務所は多いね。
一般企業では、管理職になるまでは残業代が支給されるのが普通だと思いますが、多くの特許事務所では、管理職かどうかにかかわらず弁理士には残業代が支給されません。
私も、弁理士になってから残業代が支給されたことはありません。ただ、周りの弁理士もだいたいそうなので、「そういうものなのか」と深く考えずにいました。
しかし、これから弁理士を目指す人や、特許事務所に転職しようと考えている人にとっては、気になる問題だと思うので、私の知っている現状だけでもお伝えしたいと思います。
弁理士の残業時間が気になる人は、下の記事も参考になるかと思います。
弁理士に残業代が支給されない理由
弁理士に残業代が支給されない理由として、
- 年俸制だから
- 裁量労働制だから
ということをよく聞きます。
果たして、これらが残業代が支給されない理由になり得るのでしょうか?
弁理士は年俸制だから?
弁理士に残業代が支給されない理由として一番よく聞くのは、「弁理士は年俸制だから」というものです。「年俸には残業代も含まれているからね」というわけです。
ただし、年俸に残業代が含まれる場合でも、本来は月に何時間までの残業代が含まれるのかを規定し、規定時間を超える残業については残業代は支払われるべきものらしいです。
なので、必ずしも「年俸制=残業代ゼロ」とはならないのですが、実際には「年俸制=残業代ゼロ」という運用がなされている特許事務所が多いという印象です。
転職活動時に年俸が提示された場合には、「残業代は何時間分含まれているんですか?」と聞いてみるといいかもしれません。
この質問に即答できる特許事務所は労務管理がしっかりしていると言えるでしょう。
弁理士は裁量労働制だから?
弁理士に残業代が支給されない理由として、「裁量労働制が適用されているから」というのも聞きます。
裁量労働制とはみなし労働時間制の一種であり、実際の労働時間にかかわらず、一定のみなし労働時間だけ働いたとみなされます。…って、わかりにくいですよね(笑)。
例えば、みなし労働時間が8時間と決められていれば、3時間しか働かなくても、12時間働いても、8時間働いたとみなされます。減給もされないし、残業代も出ません。
しかし、裁量労働制であっても、「深夜勤務や休日勤務した場合には残業代を支払わなければならない」という規定があるようです。
したがって、必ずしも「裁量労働制=残業代ゼロ」というわけではないのですが、裁量労働制をきちんと理解して正しい運用をしている特許事務所は一体どのくらいあるのでしょうか。
私も以前に勤務していた事務所で、「うちは裁量労働制だから」と説明され、残業代も休日出勤手当も出なかったことがあります。
それはそれでいいのですが、裁量労働制というからには、暇なときには平日の昼間から酒を飲んでも、パチンコをしてても仕事をしたことになるのでは??
裁量労働制のもとで本当に自由に働いている弁理士がどのくらいいるのか、私も気になるところです。
というわけで、私自身もいまだ弁理士に残業代が支給されない正確な理由はよくわかっておりません(苦笑)。
特許技術者には残業代は支払われる?
ここまでは弁理士の話ばかりしてきましたが、弁理士資格を持たない特許技術者の残業代の扱いはどうなっているのでしょうか?
特許技術者であれば、一般的に年俸制や裁量労働制は適用されず、残業代は普通に支払われることが多いようです。
このため、残業を多くしている特許技術者が試験に合格して弁理士になった場合、弁理士手当がそれまでの残業代よりも少ないと、年収が下がるという話はちらほら聞きます。
企業でもありますよね。管理職になったら残業代がなくなって年収が下がったみたいな話。あれと似ています。
ブラックかホワイトは総合的に判断しよう
特許事務所って、世間的に言えば所詮中小企業なので、勤務規定や就業規則がきちんと整備されていないところも多々あります。
もちろん、労働基準法に違反してはいけませんが、結局は経営者と従業員との問題なので、双方が納得していれば、それでいいのではないかと個人的には思います。
私自身の話をすると、年俸制でもないし、裁量労働制でもないのですが、なぜか残業代は出ません。「それって、ブラック特許事務所じゃないの?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、私の場合、残業もそれほどしてませんし、繁忙期に休日出勤したら代休が取れるし、ある程度の遅刻や早退も大目に見てもらえます。
「勤怠管理がしっかりされていない」と言われればそのとおりなのですが、勤怠管理が緩いおかげで働きやすいというところも多分にあります。
私にとっては十分ホワイトな労働環境なので残業代が出なくても文句はありません。総合的に判断してブラックだと思うなら一言物申すのもアリでしょう。
そのあたりの事情をしっかりと把握してから転職したいという人は、リーガルジョブボードなどの転職エージェントを利用することをオススメします。
以上、正確な回答ができなくて恐縮ですが、特許事務所における残業代の現状についてのお話でした。
弁理士には「残業代で稼ぐ」みたいな感覚はないんですね。
特許技術者にはそういう感じの人もいるけどね。