弁理士になるにはどうしたらいいんですか?
弁理士試験に合格し、実務修習を修了すること。この2つが条件だよ。
弁理士になるにはどうしたらよいのでしょうか?
「弁理士試験に合格すること」というのは知っている人が多いと思いますが、さらに、実務修習を修了する必要があります。
弁理士試験と実務修習、この2つのハードルを越えて、ようやく弁理士になれます。
この記事では、弁理士試験と実務修習の概要を説明します。
弁理士になるには?
弁理士になるには、実は3つの方法があります。
- 弁理士試験に合格すること
- 弁護士となる資格を有すること
- 特許庁で審判官または審査官として通算7年以上従事すること
しかし、2番目の方法は、特許訴訟を専門にする弁護士が弁理士にも登録する際に主に利用されるものです。
3番目の方法は、特許庁を退職した審査官や審判官が、弁理士として特許事務所などに再就職をする際に使う手です。
弁理士になるために、弁理士試験よりも難関の司法試験にチャレンジしたり、特許庁に7年も勤務するというのはあり得ませんよね?
というわけで、弁理士になるには弁理士試験に合格するのが一番手っ取り早いです(笑)。
弁理士試験の難易度
弁理士試験には学歴や年齢などによる受験制限はありませんが、難易度の高い試験となっています。
合格率は高い年でも10%前後で、合格者数の上位は東大、京大、阪大といった難関大学の出身者が占めています。
しかし、弁理士試験の実際の難易度は、1桁台の合格率で表されるほど難しくはありません。
こちらの記事に詳しく書いていますが、本気で取り組めば合格を勝ち取ることは十分可能な試験です。
令和2年度の弁理士試験の統計では、最終合格を果たすまでの平均受験回数は4.02回となっています。
弁理士試験に合格するのに、特別な才能は求められませんが、努力と根気が必要であることは間違いありません。
弁理士試験を独学で乗り切るのは現実的ではなく、予備校(受験機関、資格スクール)に通っている受験生が大半です。
効率よく勉強すれば、一発合格も可能な試験です。
弁理士試験の内容
弁理士試験の内容を簡単に説明します。
弁理士試験は基本的に特許法などの法律に関する知識や理解力を問う試験となっています。
弁理士の実務では技術理解力が重要ですが、弁理士試験では技術理解力は問われませんので、文系の人でもまったく問題ありません。
弁理士試験は1次~3次試験まであり、1次が短答試験、2次が論文試験、3次が口述試験となっています。
弁理士試験の日程や申し込み方法は特許庁のサイトで確認できます。
短答試験
短答試験は、試験範囲が広いうえに、かなり細かい点まで問われるマーク式の試験で、一次試験と言えどもここで苦戦する受験生が多いです。
- 四法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)
- 著作権法
- 不正競争防止法
- 条約
ただし、論文試験と異なり独特なノウハウが不要な短答試験に関しては、独学でも突破可能です。
独学をオススメしているわけではありません(笑)。
論文試験
論文試験には、必須科目と選択科目があります。
- 必須科目:四法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)
- 選択科目:理工I~V、法律の何れかの科目から選択問題を1つ選択(下表参照)
科目 | 選択問題 |
---|---|
理工I(機械・応用力学) | 材料力学、流体力学、熱力学、土質工学 |
理工II(数学・物理) | 基礎物理学、電磁気学、回路理論 |
理工III(化学) | 物理化学、有機化学、無機化学 |
理工IV(生物) | 生物学一般、生物化学 |
理工V(情報) | 情報理論、計算機工学 |
法律(弁理士の業務に関する法律) | 民法(総則、物権、債権から出題) |
必須科目は、四法の応用力を問われる弁理士試験最大の山となっており、独特のノウハウが必要となるので、予備校の助けなしに突破するのは難しいでしょう。
選択科目は、理系の人なら理工I~Vの中から自分の専攻科目を選択し、文系の人なら法律を選択するのが一般的です。
修士・博士の学位を持っている人や、技術士、一級建築士、薬剤師などの資格を持っている人は、選択科目が免除されます。
選択科目に関しては、学生時代に真面目に勉強していれば、過去問に少し目を通す程度で合格点は取れるでしょう。
選択科目は免除の人が多いです。
口述試験
口述試験は、四法に関する基本的な知識が問われる面接式の試験です。
決して難しいわけではないのですが、何とも言えない緊張感があります。
試験官や問題に当たり外れがあり、運にも多少左右される試験ですが、しっかり勉強すれば運に関係なく突破できると思います。
想像しただけで緊張するな~。
免除制度
短答試験と論文試験の必須科目は、合格するとその後2年間はその試験が免除になります。また、論文試験の選択科目は、一度合格すれば永久に免除されます。
免除制度を利用して、1年目に短答合格、2年目に論文合格という計画なら、無理のない学習ペースで最終合格を勝ち取ることも可能です。
ただし、免除期間が終わるとまた受験する必要が生じるので、そのときにモチベーションを維持するのは大変です。
短答試験に合格したら、免除期間内に一気に最終合格を勝ち取りたいところです。
実務修習を修了すると晴れて弁理士に!
苦労の末、弁理士試験に合格したとしても、それですぐに『弁理士』と名乗れるわけではありません。
弁理士試験に合格後、所定の実務修習を修了し、弁理士登録を行うことで、晴れて弁理士となります。
弁理士試験が法律の知識や理解力を問うのに対し、実務修習はその名の通り、実務に役立つカリキュラムとなっています。
実務修習は、実務経験がない人にとっては非常に有益ですし、同期合格者との交流を深めるのによい機会です。
しかし、eラーニング研修(動画視聴による研修)だけでなく、集合研修もあるので負担が大きいです。
集合研修では、課題が出されますが、不出来の場合はやり直しもあります。仕事をしながら実務修習をこなすのはなかなか大変です。
弁理士試験からやっと解放されたと思ったら、次は実務修習で3ヵ月ほど悪戦苦闘する日々が待ってます。
このことはあらかじめ知っておいたほうが、ショックが少なくて済むでしょう(笑)。
また、弁理士になるにはそれなりの費用も必要となります。特許事務所勤務の人は補助してもらえると思いますが、そうでない人は心の準備を!
弁理士になるための道のりは決して楽ではありません。でも、特別な才能がなくても努力と根気があればなれます。
弁理士に興味のある人は、ぜひチャレンジしてください!
努力と根気か…。がんばってみようかな。
そうこなくっちゃ!