特許事務所をクビになるってよくあるんですか?
それほど多くはないけど、あることはあるよ。
特許事務所は大手であっても零細~中小企業の規模にすぎないため、大企業のサラリーマンや公務員と比べると『守られている感』はほとんどありません。
そのためか、中には「不当解雇とか多いのでは?」ということを心配している人もいるようです。
結論から言うと、『ブラック特許事務所』と言われるようなところだと、理不尽な解雇もあるかもしれませんが、まともな特許事務所であれば過剰な心配は不要です。
今回は特許事務所の解雇事情についてお話したいと思います。
特許事務所はクビが多い?
「特許事務所ってクビが多いの?」という質問に対しては、統計を持ち合わせていないため明確な回答はできませんが、公務員や大企業と比べると多いと予想されます。
公務員は法律で守られているので、クビになることは基本的にありません。
大企業の場合は「こいつはダメだ」となってもすぐにクビというわけではなく、配置転換などで対処することが多いと思います。
しかしながら、特許事務所の場合は、規模的に配置転換させるような余地はあまりありませんし、使えない人員を雇っておく経済的な余裕もそれほどありません。
このため、『使えないヤツ』というレッテルを貼られた場合に、クビに直結する可能性は大企業より高いと思われます。
ただし、常にクビにおびえながら仕事をしなければならないというほど、過酷な環境では決してありません。
外資系企業に勤務する友人がいますが、彼のほうがよほど徹底された実力主義の中で緊張感を持って働いているように見えます。
特許事務所をクビになる3つの理由
特許事務所をクビになる主な理由は次の3つです。
- 売り上げが伸ばせない
- 期限徒過
- クライアント対応がまずい
順番に説明していきます。
売り上げが伸ばせない
特許事務所は成果主義が基本なので、弁理士や特許技術者の年収は実績によって左右される部分が大きいです。
特許事務所は、売り上げを伸ばせなかったら減給、さらには解雇もあり得る世界であり、成果主義の延長線上にクビという可能性があることは否定できません。
ただし、減給や賞与カットなどを受けて、クビになるよりも先に「この仕事は向いていない」と自ら去っていく人のほうが圧倒的に多いです。
なお、特許事務所では採用後に6カ月~1年程度の試用期間が設けられていることが多いですが、この期間は売り上げは気にしなくて大丈夫です。
試用期間はよほど難のある人をお断りするための便宜で設けられているにすぎず、「試用期間中に月○○件明細書を書けるようにならないとクビ」というようなハードルの高いものではありません。
期限徒過
中間処理では、特許庁に指定された期間内に応答する必要があり、期限を徒過するのはあってはならないことです。
1回目なら見逃してもらえることがあったとしても、同じ人が2回も期限徒過をしたら完全にアウトです。
ただし、期限徒過はクライアントの信用を大きく損なう重大ミスなので、2重3重の期限管理を行っているのが普通であり、めったに起こることではありません。
クライアント対応がまずい
クビの理由で一番多いのが、「クライアントへの対応がまずい」という理由です。
クライアントの考えと自分の考えが異なることはしょっちゅうあることです。
しかし、お客様であるクライアントの意に反してまで自分の考えを貫き通すと、クライアントの反感を買ってしまいます。
でもときどきいるんですよね、こういう人。
実務的な能力に問題がなくても、クライアントを怒らせてしまう人は、経営者としては爆弾を抱えているようなもの。真っ先に解雇対象となるでしょう。
プライドの高さや自信過剰ぶりを指摘されたことがある人は注意してください。
特許事務所をクビにならないためには?
私もこれまでクビになった人を何人か見てきました。
しかし、仕事が不出来だからというより、社会人としての常識が欠如していたことが解雇理由となっているケースがほとんどです。
ミスを犯したのにクライアントに謝罪しない、クライアントに虚偽の報告をする、無断欠勤が多い、女性事務員へのセクハラなど。
はっきり言って「クビになって当然」と思われるケースばかりです。
私も人事に関わる立場なのでよくわかりますが、一旦採用した以上、その人に対して責任を感じますし、能力が低いというくらいで解雇する気持ちにはなかなかなりません。
ですから、常識ある人が「クビにならないためにはどうすればいいか?」なんて過剰に心配する必要はありません。
ブラック特許事務所だけは気をつけよう
以上のように、まともな特許事務所でクビに遭うことを過剰に心配する必要はありませんが、残念ながらごく一部のブラック特許事務所では不当解雇と疑われる話も聞きます。
そこで心強い味方となってくれるのが、弁理士(特許事務所)専門のエージェントがいるリーガルジョブボードです。
転職エージェントの中には怪しげなところもありますが、私も採用側でお付き合いのあるリーガルジョブボードなら自信を持ってオススメできます。
クライアントの信頼を得られれば怖いものなし
最後に特許業界で生きていく上での心構えについて少しアドバイスを。
特許事務所へ転職したあとは、3年程度を目処にできるだけ早く事務所に必要とされる人間になることを目指しましょう。
そのためには、単に実務能力を伸ばすだけでなく、クライアントの信頼を得られるように心がけることが大切です。
特許事務所にとって、クライアントに気に入られている弁理士や特許技術者を手放すことは大きな痛手なので、クライアントの信頼を得ることができれば、おのずと重宝されることになります。
また、特許事務所に弁理士が何人いるかというのは、特許事務所のステータスにも関わってくるので、弁理士資格があれば事務所に必要とされる度合いも高まります。
特許事務所に必要とされる人間になれば、形勢逆転で次はあなたが特許事務所を選べる立場になれます。そうなれば、クビの心配なんてまったく無縁になります。
特許業界で生きていくのが一気に楽になりますよ。
むやみにクビが多いわけではないんですね。安心しました。
まじめにがんばってればまず大丈夫だと思うよ。