特許事務所は忙しい職場と聞いたんですが本当ですか?
慢性的に忙しい事務所もあるけど、そうでないところも多いよ。
特許事務所への転職を検討している人の中には、「残業は多いの?」、「休みは取れるの?」といった点が気になっている人もいるでしょう。
私が特許事務所への転職活動をしていたときには、「特許事務所は不夜城のところが多いよ」と脅された記憶があります(笑)。
そういう特許事務所があるのも事実ですが、それはごく一部の事務所の話なので、過剰に心配する必要はありません。
この記事では、特許事務所の残業事情と休暇事情についてお話したいと思います。
弁理士の年収と忙しさは比例関係?
弁理士であろうと特許技術者であろうと、特許事務所では処理件数(売り上げ)に応じて年収が決められます。
処理可能な件数と労働時間は、おおむね比例するので、しっかり稼ごうと思えば労働時間を投入せざるを得ません。
つまり、年収を上げるためには、より長い時間働く必要があり、その結果、残業が多く、休みも少なくなりやすいです。
しかし、別の捉え方をすると、短時間で多くの仕事をこなせる処理能力の高い人であれば、残業をほとんどせず、休みもしっかり取って、そこそこの給料を得るということも可能です。
私の個人的な感覚では、センスのある人なら、毎日定時帰りでも年収700~800万円程度なら十分可能です。
ただし、年収1,000万円超えを目指そうと思えば、人並み以上の仕事をこなす必要があり、それを残業せずにセンスだけで乗り切るのは難しいでしょう。
大雑把な感覚ですが、年収800万円前後に壁があり、その壁を超えようとすると慢性的に忙しくなりやすいように思います。
大手特許事務所のほうが忙しい?
次に、特許事務所の規模による忙しさの違いについて、ざっと傾向をお話します。
所員が100名程度以上の大手特許事務所は、常に仕事があふれている状態のことが多く、慢性的に忙しいところが多いです。
なぜなら、大手特許事務所は多くの所員を養うために、複数の大手クライアント(大企業の知財部)から大量の案件を受注しており、絶え間なく新しい仕事が入ってくるからです。
もちろん、個人の能力や性格、あるいは担当しているクライアントによって忙しさには差があり、中には毎日きっちり定時帰りという人もいます。
しかし、大手特許事務所でそういう態度を貫くと、「あいつは余裕がありそうだ」と思われ、忙しいグループの仕事を回されるなんてこともままあります。
特許事務所は基本的に個人プレーの世界なので、自分の仕事さえきちんとやっていれば文句を言われることは少ないですが、大手になるとそのあたりの空気を読む必要が出てきます。
一方、中堅(所員数十名程度)や小規模(所員20名程度以下)の特許事務所は、「忙しいときもあるけど、暇なときもある」というところが多いです。
大手特許事務所は、大手クライアントの大口の仕事に対応できるように所員を増やしているうちに組織が大きくなっていったと考えられます。
反対に、現状のマンパワーの範囲で仕事を受注しているような事務所が、中堅や小規模にとどまっていると考えられます。
なので、中堅や小規模の特許事務所では慢性的に忙しいことはあまりなく、ときには仕事が途切れて暇になることもあります。
事務所の規模が小さすぎると、仕事を割り振れる人数がそもそも少ないために、仕事の受注状況によって忙しさの波も大きくなります。
ワークライフバランスを一番確保しやすいのは中堅の特許事務所だと思います。
特許事務所で長期休暇は取れるのか?
大企業であれば、正月休み、ゴールデンウィーク、夏休みに、それぞれ1週間~10日程度の長期休暇が取れるところが多いですよね。
しかし、特許事務所でそういうところは少ないです。
特許庁の営業日と合わせてほぼカレンダー通りとしているところが多く、独自の休暇と言えば正月と夏休みにプラス2、3日ある程度です。
とは言っても、有休を消化して長期休暇を取る人も多く、別に長期休暇が取れないわけではないのでご安心を。
先ほども言いましたが、特許事務所の仕事は個人プレーの要素が大きいので、企業で働くよりも休みの調整はしやすいです。
気になる人は転職エージェントを利用しよう
特許事務所の残業事情と休暇事情について大まかな傾向を話してきましたが、それぞれの特許事務所の所長の方針や雰囲気によるところが大きく、結局は事務所次第ということになります。
しかし、残業や休暇の事情を採用面接で聞くのは抵抗があるでしょう。
そういう人は、リーガルジョブボードなどの専門の転職エージェントを利用すれば、求人情報には掲載されていない残業や休暇の現状を教えてもらえますし、ブラック特許事務所も避けやすくなります。
以上、参考になれば幸いです。
僕は中堅の特許事務所が合いそうだなぁ。
規模が同じでも所長の方針や事務所の雰囲気で差はあるけどね。